ネタメモ

違和感にふと目を覚ます。思考がぼんやりとしていて何も考えられない。いつ眠ったのかも思い出せないが、目覚めた視界は白く明るかった。
起き上がろうと体を動かせばまた違和感が主張した。どうしてか全身が重だるい。頭もうまく働かない。これはいったいどうしたことかと視線を動かせば、両手首がパイプベッドの柵に固定されているのが見えた。左手首にはさらに白いテープで何かが止められている。手首から伸びているものを辿ればそれは点滴だと分かった。
右手は固定された手首の先、指先だけを誰かが握っていた。俯いていて顔は見えない。
病院、なぜ、という疑問は声にさえならなかった。口元と喉にも違和感がある。
「あかし」
呼ばれて視線を向けると、先ほどは俯いていた人物が顔を上げてこちらを見ていた。親しくはないが知っている顔だ。
ふりはた、呼ぼうとするがやはり声は出ない。固定された両腕はもとより、上半身を起こすこともできない。
「いまナースコールするから」
ナースコールと言うからにはやはり病院らしい。
「気道確保で挿管されてるんだ。あと手首は、…意識がないときに赤司、ちょっと暴れたんだ。それで、点滴が外れると困るからって」
なにかを探してるか追いかけてるみたいだった。降旗は泣きそうな顔をしていた。

「征十郎から…いままでありがとう、さようならってメールが届いて、驚いて家に行ったら、…お前が倒れてて」
しばし目を閉じて、自分の中に気配を探ったが少しもあいつを感じられなかった。
「ど、瞳孔反射っていうのかな、光を当てるやつ。あれされてるときに見えたんだ。お前、いま両目とも同じ色だよ」
…いってしまった。あいつは、俺を置いて。
「目が覚めたらもしかしてって、ちょっと思ってたんだ。でも違った。…ごめん、赤司には失礼な言いかたになるけど、駄目だった」
期待を、希望をへし折られて絶望した目だった。きっと自分も似たような表情をしている。

赤降前提の赤+降。
僕司さんと降旗くんは付き合ってて、俺司くんと降旗くんは知り合い程度。かつ、僕司さん←俺司くん。
僕司さんと俺司くんは直接コミュニケーションを取れず、ノート(日記)で意思疎通。僕司さんは俺司くんがスポットに入っているときの状況も分かるけれど、俺司くんは僕司くんがスポットに入っているときは眠っているような状態。俺司くんが主人格で僕司さんが副人格ですねー。
で、俺司くんの安定が進んだため、僕司さんは不要となり(僕司さん判断)僕司さんは消えることに。OD(もちろん死なない程度に調整済み)により一時昏睡となった隙に僕司さん消滅。
現実世界の治療方法的には、本当は主人格に統合っていうほうが正しいんだけど。消滅(他者の手による)は危険な人格に対する最終手段。…だけどまあ、僕司さんの自主的な消滅だから……。

降旗くんは僕司さんのことを征十郎、俺司くんのことを赤司、どちらともつかない場合(ボディのみを示す場合など)はお前と呼び分けています。
赤降なんだけど、突然相手の消滅という手段でフラれた恰好になった降旗くんと、まさしく魂の片割れ兼好きな人を同じく突然失った赤司さんの傷の舐め合い話。
寝しなに唐突に湧き上がった妄想をひとまずメモる。