今度は萌えを詰め込んだものを書きたい

というわけで、曲(+α)メモ。
いろんな曲をイメージにして、CPごちゃ混ぜで短いのをいっぱい書けたらいいなあ…という願望。

ひとつになっちゃえ:燭へし
まいったな〜しょうがない〜:浦乱

まいったな〜しょうがない〜
「ナンパなら間に合ってます」
「えっ」
かわいらしい見た目に反して言葉でばっさりと切り捨てられて、浦島は心から困った。
ひと目惚れなのだ。ひと目見て、一瞬で、本当にこんなに簡単にどうしようもなく好きになってしまっていいのかと思うくらい、もう好きになってしまった。
さらさらと流れるやわらかい桃色の髪、透き通るような白い肌と青い瞳、すらりと伸びた手足に、携帯電話の画面を見てくるくると変わる表情――楽しそうにそっと笑った顔。一瞬で恋に落ちてしまった。不可抗力だ。
誰でもいいわけじゃなく、恋に落ちてしまったから声をかけた。切れ味の鋭い言葉もそれを投げつけた声も驚いた顔も、胡乱気に細めて睨みつける眼も、一瞬ごとに、ひとつ知るたびにどんどん好きになってしまう。
それを伝えたい。
けれど浦島は口が達者ではないし、語彙も豊富ではない。
おそらく時間をかけて言葉を交わし、会話をして交流すれば「誰でもいいナンパ」という誤解は解けるのだろうが、浦島と相手に面識はない。
一期一会の出会いだから、そして一期一会で惚れてしまったから、結局取るべき手段がナンパじみてしまった。
あの、えっと、と継ぐべき言葉を選びあぐね、不自然な間に焦っていると彼女の待ち人が現れたららしい。
長い黒髪で背の高い、きれいに化粧をした人と二、三の言葉を交わして連れ立って行ってしまうからさらに焦った。
「あっ、ま、待って!」
「待たない。それにボク、男だから」
「えっ!?」
衝撃の事実に驚いているうちに、彼女改め彼はじゃあね、と行ってしまう。彼にとっては浦島はしつこいナンパでしかないだろうに、じゃあね、と告げるところに育ちの良さを感じてさらに好きになってしまった。
しかしその前に考えなければいけないはずは、彼女が彼だったことだ。
あんなにかわいいのに男。一瞬でどうしようもなく好きになってしまったのに男。同性。
「……問題ないな」
性別がどうこうよりも、惚れたという事実を浦島は優先した。
うん、問題ない。好きになった相手が男でも女でも、好きになってしまったのだからしょうがない。
それよりもよほど重大な問題は、次はいつ会えるかだ。

約束の場所で:
また会おね:
switch:つるいち
さあ今きみと:沖田組

さあ今きみと
地面を滑りながら着地して、勢いを利用して体の向きを変えた。ざり、と足元の音が静まるのと同時に背中に軽い衝撃とともに体温が触れた。ぐしゃぐしゃの布の感触、近くでくり返される荒い呼吸。
加州は振り返りもせず口を開いた。
「どう」
「あんまり」
短い問いかけには短い答えが返る。ちらりとも視線をやらないで「そう」とだけ言った。
砂埃の中を駆けまわって髪はぼさぼさでぐちゃぐちゃ、服も体も防ぎきれなかった刀傷だらけだ。視線の先には群れを成して加州と大和守を取り囲む敵。気分も状況も、控えめに言って最悪だ。
「もーサイアク! 爪も肌も服も髪もぼろぼろ!」
「うるさいな、いま言うことかよ」
「言うよ! 言わないと気分下がってしょうがない!」
「そうかよ」
思った不満を素直に口にすれば、大和守が呆れたように言う。
早く終わらせよう、早く終わらせて早く帰ろう。帰ったら湯浴みして肌も髪も徹底的に手入れしてぐっすり寝よう。加州が口に出さず決意を固めていると、合わせた背中が一瞬で緊張する。
砂利を踏む音が四方から響く。じりじりと包囲網が狭まっていく。
援軍はない。他の仲間とははぐれてそれきりだ。
「……サイアク」
けれど悲観はしていない。
刃は曇りも欠けもしていない。まだ戦える。なにより、ひとりじゃない。
触れ合った背中の筋肉がみなぎっていくのが分かった。向こうも同じものを感じているだろう。
言葉も合図もなく、ふたり同時に地面を蹴った。

中合わせの一振りと一緒なら、きっと、自分でも想像できないところまで戦っていけると確信に近い予感を持っている。

Masked bitcH:石かり?
I share all with you:加州(+沖田)
焔の如く:薬研

焔の如く
目の前の敵から移った青い炎は、秋の原野を舐めるように猛烈な勢いで走っていく。
青は広がるにつれて見知った赤に変わり、薬研はあっという間に本能的に恐怖と怖気を呼ぶ熱と色に包まれた。熱と赤に包まれる感覚には、遠いどこかで覚えがある。
間合いをはかっていた敵大太刀がゆらりと動くのに、炎に気を取られていた警戒を引き戻す。
相手が、目の前にいるのが薬研と知って炎を放ったかは定かではない。けれどそんなことはどうでもいい。薬研にとっては敵を屠ることだけがいまのすべてだ。
炎はぐるりと薬研と敵大太刀を取り囲んで、火の中を強行突破しようとしない限り、行動範囲は先ほどより狭まっている。
(……馬鹿だなあ)
胸の内でそう考え、熱風に煽られて乾いた唇をひと舐めした。
(――俺たちの間合いだ)
狭い中を飛びまわって戦うのは、炎の中でだって市街戦と変わらない。京の市中で証明された通り、市街戦は脇差と短刀の領分だ。
炎だと震え、ためらっている暇などない。
「わざわざ俺にあつらえ向きの戦場にしてくれてありがてえなァ。……さあ、アンタの望みどおりに死合おうか……地金を見せろやあぁぁ!」

どういう理屈だか、敵大太刀がどうと地に伏したあと、炎は吹き消しでもしたように突然ふっと消えた。地面は一部焼け焦げているが、それも炎の勢いからすれば不思議なほど僅かだ。くすぶる火もない。
急所に深く突き刺した刃を抜いていると、向こうから炎で分断された仲間が駆け寄ってくる。
「薬研!」
声を揃えて叫んだのは脇差の兄ふたりだ。刀を振って血を払い、鞘に収めたのと同時に鯰尾が飛びついきた。
「怪我ないか!」
飛びついて、けれどすぐに身を離して薬研の顔を見る。欠けてないか、腕はあるかとその勢いのまま検分されて、いつもとは違う様子に面食らう。骨喰も鯰尾の隣で分かりやすく険しい顔をしていた。
さらに兄ふたりの向こうには、追いついた御手杵と石切丸、加州が気遣わしげな顔でこちらを見ている。
大太刀と一騎打ち、そして炎。なるほど、随分心配させたらしい。
だから薬研は、思い切り朗らかに笑って部隊長の加州を見た。
「勝ったぜ、隊長」

stuck:長蜂

stuck
ふと目を開けると外はもう暗くなっていた。喧嘩をして相手を家から蹴り出したあと、ベッドにうつぶせて名状しがたい感情をこらえているうちに眠ってしまったらしい。
起きなければと思うが、思考のだるさがそれさえ億劫に思わせて、蜂須賀はまた枕に顔を埋めた。
嘘をつかれていた。それも、深刻で重大な嘘だ。

蜂須賀はずっと長曽祢を兄と慕ってきた。もうずっと、ずっとだ。
大きな体で強くたくましく、頼りがいのある兄。兄のようになりたい。それが小さいころの蜂須賀の口癖で願いだった。けれど兄は、蜂須賀がそう言うたびにどこかに痛みをこらえるような顔をしていた。幼いころは怪我でもしたのかと心配したものだったが、その表情の理由がいまとなってようやく分かった。
あれは、「複雑」だ。
兄は蜂須賀と自分が実の兄弟ではないと知っていた。蜂須賀がそうと知らない昔から、ずっと。
だから純粋に「兄」として慕われると、うれしくありつつもだましているという罪悪感が胸に募ったのだろう。
顔を上げないまま手探りで携帯電話を引き寄せるが、着信はおろか、メールや短いメッセージのひとつもはいっていなかった。当然だ、蜂須賀の眠りは少しも妨げられなかった。
また頭を沈めて、思考と感情を占拠して脳裏に浮かぶ長曽祢にお前なんか嫌いだと内心で吐き捨てた。
嫌いだ。憧れの兄だったのに。特別な、大好きな兄だったのに。どういう事情があったにせよ、嘘と偽りを積み重ねていたなんて。
大嫌いだ。兄だと思っていたから倫理にもとる思いを精一杯抑え込んでたというのに。
――この思いを、どうしたらいい。
長曽祢はきっとこれからも、蜂須賀を弟だと胸張って言うだろう。けれど蜂須賀は、もう弟ではいられない。
「……嫌いだ」
でも好きだ。
布団の上に投げ出した手足を引き寄せて、ぎゅっと小さく縮こまる。
血のつながった兄だと信じていたから、違和感のある感情にも無理矢理なぜと首を傾げ、気のせいだ勘違いだと無視してこられた。
それが、だから兄ではないと分かった途端に、苦しいほど一気に膨れ上がってしまう。
嫌いだけど好きだ。好きだ。実の兄ではないと分かった瞬間に、好きになってしまった。もう感情に嘘をつけない。
胸の痛みをごまかすために、手足をさらに強く引き寄せた。

as ever:燭へし

「東口のいつものカフェにいて。いまから戻るから。10分かからずに行く!」

Memory of Soul:蜻蛉杵
ロミジュリのナイチンゲールとひばりのあれ:つるいち

鶴丸の腕の中で目を覚まして、一期は絶望した。目が覚めてしまった。朝が来てしまった。
鳥の鳴く声が聞こえる。

ところで、新しいNEXTで赤司さんおかえりなさい! …はいいんだけど、あれフェアじゃなくないか?
選手交代といえばそうなんだけど、ルールに厳密に照らし合わせれば、結構グレーっぽくない?
解離性同一性障害ってそれぞれ別の人間っていう認識じゃないのか…?