ハマると必ず考えるやつ

昔読んだ同人誌の設定が大好きすぎてな……。
卒業間近の学校で攻めが逃げる受けを追いかける全力追いかけっこだよ!
つるいちで妄想したよ!
一期サイドは200km/h in the Wrong Lane、鶴丸サイドはClowns (Can You See Me Now?)がイメージだよ!

三条(今剣除く)は先生で、三日月は一期が2年のときの文化祭で演劇部の客演に一期ともども出ていた関係で、一期をからかってときどき、舞台と同じ「お前さま」って呼ぶ。
生真面目でどこか窮屈そうにすごしている一期を普通にかわいがってもいる。逃走する一期の味方。でも鶴丸とは従兄弟であるのでこちらもかわいがってるし味方。

「三日月!」
「これ、五条鶴丸。学校内では三条先生、だろう」
「そんなことより一期だ! こちらへ来ていないか、姿を見ていないか」
「ふむ。ここらでは見ていないなあ。お前たちはなにをやっているんだ――と、もう行ってしまった。……一期、鶴は行ってしまったぞ」
「……申し訳ありません。三条先生にまでご迷惑を」
「はは、構わぬ。元気があるのはよいことだ。して、どうした」
「……」
「まあ多少は耳に入っているがな。なんと、あの鶴が一期に愛を告げたとか」
「……」
「それで、こたえられずに逃げたと」
「……」
「なあ一期。お前はただ答えられなかったんじゃないだろう。思いに応えられないのなら、誠実なお前のこと、精一杯相手を傷つけない言葉を選んでそう告げるだろう。いままでもそうしてきた」
「……」
「ではなぜ鶴からだけは逃げるのか。つまり、応えたいからだろう」
「……すべてお見通しなのですね」
「伊達に古文教師をやっていないからなあ。百人一首など多くが惚れた腫れたの歌だ」
「……困ったんです」
「……なにが」
「……あの人は、これから明るい、まぶしいところへ出て行く人です。その人に、私のような、同性の相手がいるのは汚点でしかないでしょう――わっ」
「なにが汚点だ馬鹿者め。俺から見れば、お前だって十分にまぶしい明るい美しいものだ」
「……」
「俺の『お前さま』を侮辱するとお前でも許さないぞ」
「……告げて、いいのでしょうか」
「悪いことがどこにあるだろう」
「……」
「……一期。お前はほんに鶴が好きなのだなあ」
「からかうのはおやめください」
「からかってなど。かわいらしいと思っただけだ。なあ、『お前さま』」

鶯丸と江雪はどちらとも生徒会仲間。どちらも両方の味方。一期が本気で嫌がって逃げたいなら鶴丸を蹴り飛ばしもする。

「一期お前は、本当は、どうしたいんだ」
「……」
「お前が本当に、心底、鶴丸から逃げたいなら、俺と江雪で鶴丸を諭そう。鶴丸が話を聞かないなら蹴り飛ばしたっていい」
「……」
「言ってみろ。――言って、いいんだ。一期。どうしたい」
「……私、は、……鶴丸さんに、忘れ、られたく……なくて」
「うん」
「……こんな、ひねくれた手段しか取れないけれど……こうやって、私が逃げていれば、……鶴丸さんは、追いかけてきてくれるでしょう……私だけを見て、考えてくれるでしょう……」
「必死だな」
「……必死なんです。ずるいんです。答えもせず逃げて……でもこんな、ずるい考えで頭をいっぱいにして必死で……あさましい……」