カナリア

「バタースカッチを」
店に入るなりまっすぐカウンターへ向かって、注文を訪ねたバーテンダーへそう告げれば、人のよさそうな笑みを浮かべた彼はほんの一瞬、ピクリと眉を動かした。
「お客様、どこでそれを?」
カナリア本人が教えてくれたよ」

飾り気のない、チェイサーを入れるようなグラスを片手に近づけば、壁に寄りかかって話していたいかめしい男たちがちらりとグラスを見てその場を譲った。
なるほど、その体で壁に擬態させたドアの切れ目を隠していたのか。

とある、声が美しく歌がうまく、世間にカナリア族と呼ばる種族出の降旗・高尾・氷室と、それぞれのパートナーの話。
カナリア族は過去に迫害や密猟に遭い、現在は数が少なくなったため、国の施策として保護対象。また潜んで暮らしている者も多い。
同時に、やはり歌や声を生業としている者も多い。

…………というパラレル。
設定があやふやすぎて矛盾がぼろぼろ出てくる。

小さなバーの奥に会員制というか合言葉を知っている者だけが入れるショーフロアがあってー
降・高・氷はそこで毎日順番にステージに上がっててー
降旗くんの上がる日はバタースカッチが合言葉なわけですー
ほかのふたりにもそれぞれ合言葉があってー
出演日と合言葉が一致しないと入れないわけですー
カナリア族は外見は人間と大差ない(せいぜい瞳の輝きが少し強いくらい。瞳の輝き≠目の大きさ)からー
潜むったって大したことじゃないし簡単に紛れられるんだぜー
といっても声がいいからいっぱい話せば感づかれることもあるしー
歌を聞かれればばれてしまうんだぜー

カナリア族は保護対象だけど、それはつまり彼らを「狩る」存在があるから施策で保護されているわけであって、捕らえられてサーカスとかショーとか金持ちとかに売られちゃったりするカナリア族もいる。
降・高・氷の3人は、いまは自分たちで選んで働いてるけど。
昔はどうだったか分からない。

3人がステージに立つお店はどんなとこかな。
誠凛が経営してても+秀徳・陽泉の共同経営でもいい。
というか、会員制にせずとも普通にショーパブ的なのでもよくね? と思えてきたYO。