テレパシー?的な話

「ゲートを閉めろッ!」
その声に最初に動いたのは平野だった。
操作盤に取り付き、殴りつけるようにして「閉」のボタンを両手で叩いた。閉鎖指示を受けた門は軋む音を立てながらもまたたく間に閉まっていき、閉めろと叫んだ御手杵を門の向こうに取り残してその動きを止めた。
自ら操作をしたもののいまだボタンの上にある平野の手は震え、表情は愕然としている。長距離を走ったかのごとく呼吸が浅く膝もがくがくと震え、崩れそうになった体は平野に先を越された同田貫が受け止めた。
「…あ…ぼ、僕…」
「平野」
歌仙がそっと背を撫でる。
「よくやってくれた」

――かせん、兼定、長、曽ね、虎徹
「…誰だ?」
――へし切はせべ、ししおー…同田貫まさ、くに、えーと…
「どこにいる」
――あー、そうだぁ…和泉のかみか…和泉守、兼定…ごめんなあ
――やま、伏、国広、はちす、か虎徹、おーくり、から、山姥切、くにひろ
――次郎たちと、おれ…
「…御手杵?」
いずこからか聞こえる途切れ途切れの声が読み上げるのは、この本丸における最高練度たち、第一層にいる者の名だ。それも以前蜻蛉切が聞いた、第一層メンバーに加わった順だ。
本丸創成期ともいえるごく最初期にわずかの間だけ存在した一軍。歌仙兼定を隊長に、長曽祢虎徹へし切長谷部獅子王同田貫正国和泉守兼定。練度を上げて彼らに追いついた山伏国広、蜂須賀虎徹、大倶利伽羅、山姥切国広。そしてめきめきとその能力を現して最後に加わった次郎太刀と御手杵

「どこにいるんだ」
――水の音、する。
「水?」
――ごうごういってる。風の音も。すっげー山おろし。
「山の近くか。湖か」
――分かんねえなあ。明るい、まぶしい、でも暗い。
「どこだそこは。もう少し分かることはないか」
――あったかくて寒い…あ、光った。
「光った?」
――いなづま。
検非違使なら逃げられるだけ逃げろ」
――ちがう…ふつ…の…

「おっ、御手杵っ、さんっ」
「おー、平野。迎えに来てくれたのか」
「…お怪我は」
「ああ、もう平気、全然大丈夫。…平野、嫌な役目させてごめんなあ、ありがとなあ」
「っ! いいえ、いいえっ、僕はっ」
「俺が閉めろって言ったんだ。聞いてくれてありがとな」
平野はもうなにも言えない。審神者に背を支えられ、しゃがみこんだ御手杵に片手を握られながら帽子を握りしめて涙を流すことしかできなかった。

これでうちのとんぎねも始まってほしい(願望)(始まる予感がしない)
うちの平野と御手杵は同日加入なので仲良しです。